こんにちは、あがり症のあがりまる(@agarimaru)です。
本はあまり読まないのですが(読むのが遅いので)、今までの人生、悩んだときは本や映画に救われてきました。
ヒントを求めて作品を選ぶこともありますが、少しでも悩みがあるときって、何気なく読んだり見たりした作品の中に、「まさに今、自分が必要としていた言葉だ!」とか、「今の自分に突き刺さる内容だ!」といった出会いがあって運命的なものを感じ、それがまた読書や映画鑑賞の醍醐味だったりもします。
今回は、今までに私が読んだ印象的な本の中から、「あがり症」や「社交不安障害」に悩む心がちょっと軽くなる言葉をご紹介。もちろん人それぞれ抱えているものが違うので、同じ感想を抱くとは限りませんが、参考にしてみて下さい。
『松下幸之助発言集』(全45巻)
書影:版元ドットコム(ベストセレクションより)
実家に『松下幸之助 日々の言葉』という本があり、初めて読んだのが大学生のとき。あまりにも役立つ言葉が多く、それ以来、松下幸之助さんにとても興味を持ちました。
もちろん「あがり症」の人向けに書かれた本ではないので、仕事や勉強、成功へのヒントになる言葉が多いのですが、落ち込んだときに救われる言葉もありました。
そう思い通りにいかないのが人生。一つの事にくよくよせず、何事も結構という心がまえで臨みたい。
―『松下幸之助 日々の言葉』より
そして就職活動が始まる頃にたまたま大学の図書館で見つけてハマってしまったのが、『松下幸之助発言集』です。全部で45巻あるのですが、夢中で読み漁った記憶があります。
与えられた運命の中で生きる。
なんぼでも生きる道はありまっせ。
悲観しかけたら、もうとことん人間は悲観して、しまいには自殺してしまう。
しかし楽観に楽観をもって暮らしていけば、必ず楽観のとおりに世界がひらけてくると思うんです。
少々のマイナスはかかえて走れ!
これらの言葉、きっと松下さんは経営に絡めて言っているのだと思いますが、自分自身の悩みに置き換えてみても、通じる言葉だなと思いました。
『人間失格』(太宰治)
書影:版元ドットコム
「あがり症の心が軽くなる」と言うにはちょっと暗い本かもしれませんが、この本の主人公のように、これほどまでに細かく物事を考える人がいるかと思うと、自分の感受性なんて大したことないと思えてしまう本。
特に主人公が、「電車に乗ると車掌がおそろしい」「歌舞伎座に入りたくても案内嬢がおそろしい」「レストランに入ると背後に立っている給仕のボーイがおそろしい」「買い物をしてお金を手渡す時のあまりの緊張」「とてもひとりで東京のまちを歩けず、一日家の中でごろごろしていた」というような描写(新潮文庫、P45~)は、共感を覚えると共に、自分はそこまで深刻じゃないと思わせてくれました。
さらに奥野健男さんによる解説の文章が、今の私にはドンピシャな内容。
(すべての理想を失い)そういう生活の中で一点希望の灯がともった。どうせ滅びるのなら、こういう愚かしい男もいたのだということを書き遺しておきたい。それを読んで、救われた気持になる読者もいるかも知れないと、幼い頃からのことを『思い出』に書きはじめたのだ。
私がブログを始めたのも、これとまったく同じことをずっと思っていたから。今、そして将来、たまたまこのブログを見つけて下さった方が、「こんなあがり症の人もいたのか」と知って、少しでも救われた気持ちになったら嬉しいのです。
『人生の目的』(五木寛之)
五木寛之さんの本は、温もりある言葉づかいが心地よく、深みがあります。そしてこの本は、何かに悩んでいる人、苦労している人には特に心に染みてくるものがあると思います。
私たちのひとりひとりが、それぞれどうにもならない運命を背負って生まれてきた。そしてそれにもかかわらず、私たちは今「生きて」いる。こんな理不尽な人生なんてもうやめた、とも言わずになんとか生きつづけている。なんと健気な自分だろうか、と思っていい。
私も「あがり症」という性格、体質を持って生きていて、「なんで自分だけこうなんだ」とか、「この悩みさえなければどんなに幸せか」と思うことだらけ。自分でも「我ながら頑張って生きてるな~」と思うだけに、この五木さんの「健気」という言葉には涙が出そうになります。
でも悩みのない人なんてきっといない。人間はそれぞれ、不公平や理不尽の中で生きていて、それはどうしようもないものなんだと考えると、少しは気が楽になりませんか。
『弱い自分を好きになる本』(香山リカ)
書影:版元ドットコム
精神科医・香山リカさんの「弱くてもいいんですよ」というメッセージの数々に励まされる本。
世の中には、前向きな人、アクティブな人向けの自己啓発本がたくさんあって、強さや成功を求めがちだけど、こういう「弱さを肯定する」本に救われる人はきっと多いはず。
強く生きなくても、人生には素敵なことがたくさんあります!
強く明るく自信たっぷりの人たちの中にいるときよりも、いろいろな意味で弱い人たちといっしょにいるほうが、ずっとほっとする。
あなたの弱さを柔らかさと感じ、ほっとしている人はまわりに多いはず。
「まじめ」は短所?
「まじめだからこそ得てきたもの」をカウントしていくことで、自信を回復。
「あんな失敗をしてみんなに迷惑をかけてしまった」と悩む繊細さ、気配りを持てる人は、「自分は何だってできるんだ」と自信満々な人より何十倍も人から愛され、今の社会に必要とされている。
↓この言葉の「弱さ」を「あがり症」に置き換えて読んでみると、ほら、あがり症でも元気が出ませんか?(笑)
弱さも私らしさ。弱い自分だからこそ、できることがある。するべきなのは、弱さを克服することではなくて、弱くても困らないためのひと工夫を身につけること。
私の場合は、あがり症だからこそこのブログができる。あがり症をネタにしてしまうことが、あがり症でも困らないためのひと工夫と言えます。
『がばいばあちゃんの勇気がわく50の言葉』(島田洋七)
前向きながばいばあちゃんの言葉、助けになる知恵が詰まった本。人それぞれ、その時々で、お気に入りの言葉が見つかると思います。私もこの本は何度も読み返したいし、子どもにも伝えていきたい。
人生は思いどおりになんていかない。失敗して当たり前なのだから。
豪勢なヨーロッパ旅行ができるお金持ちだけが幸せなんだろうか?大好きな人と一緒なら、たとえ近所の公園を散歩するだけでも十分幸せじゃないだろうか?あるいは、節約と工夫を重ねて、コツコツ貯金しながら、旅行に行ける日を楽しみに待つ。そんな日々の積み重ねが、幸せなんじゃないだろうか?
人生好きに生きないといかん。自分の人生だけん。
あがり症、パニック症、書痙などの悩みがあると、家にいるのが一番安心で、どうしても行動範囲が狭くなってしまいます。でもがばいばあちゃんの言う通り、「旅行に行くこと」だけが幸せではないはず。
家で好きな仕事をしたり、お笑いの動画を見て笑ったり、こうやってブログを書いたりするだけでも、本人が幸せならそれで良し、と思わせてくれた言葉です。
おわりに
今回は、だいぶ前に読んだ5冊の本を紹介しましたが、中には忘れかけていた言葉もあり、記憶とはあてにならないものだと痛感。大切な言葉は、こうやって時々振り返っていきたいものです。
皆さんの心が少しでも軽くなったら嬉しいです。